今回は①東京都大田区の放課後児童居場所づくり事業②高知県南国市の電気炊飯器給食③徳島県神山町の生産年齢人口の増加について 以上の3都市。会派で様々な意見交換を行いながらの視察は良い刺激になります。
まずは初日の大田区の報告から。(以下、提出予定の報告書から抜粋)
①
放課後児童の居場所づくり事業について (東京都大田区)
大田区では小学校における放課後児童の居場所づくり事業として、平成27年度より「学童保育事業」「放課後こども教室事業」(本市でいう青少年の家やわいわいスクール)を小学校施設内で一体的に実施する「放課後ひろば事業」を進めている。
「学童保育」は申請が必要で受益者負担は4000円/月、延長にプラス1000円/月となっており、定員数に対して7~8割の利用率とのこと。「本市では20000円/月かかります。」と言ったら目をひん剥いて驚いていた。一方の「放課後子ども教室」は登録制で無料、区内全児童の55%~60%が登録をしており、一日当たりの利用数はその内の15%~20%となっている。
始まったばかりのこの「放課後ひろば事業」は、区内にある58の区立小学校の中から、施設面での課題をクリア出来た、あるいは「選ばれる学校」を目指し積極的に尽力した校長先生のいる14の小学校で先行して実施される事になり、今後はすべての区立小学校に順次拡大してゆく予定である。
「選ばれる学校」・・・・何だかどこかで聞いたようなフレーズではあるが、何かを成すためにはリーダーの強い想いとチャレンジングな試みはどこの世界でも必要不可欠なものだろう。と言うのはこの事業を始めるにあたり、ただ手を挙げたと言うだけでなく、現状打破的な試みもある。それが校舎のタイムシェアと言う考え方だ。
この事業は一体的に実施されているが、「学童保育」と「放課後子ども教室」は基本別々の部屋で実施されている。「学童保育」は専用の部屋(空き教室)が使われ、「放課後子ども教室」については、その日の利用人数によって小学校と調整の上で授業後の教室・図書室・体育館・校庭などを使用する。もちろん、細部にわたり取り決めを行い、立ち入り禁止の区域も設けてあるが、これは学校側からすれば相当融通をきかせた内容である。また、「学童保育」に使われる空き教室の改修も、児童が増えた時のことも考え電源工事等だけとし、必要最小限に抑えてある。(実際に大田区ではほとんどの学区で児童数が増えている)
運営の形態は14の小学校のうち8つの小学校が公設民営(民間業者に委託)、6つの小学校が公設公営(職員の派遣)で運営されている。
その他の44校では15校が小学校施設利用の公設民営「学童保育」を有し、9校が同じく小学校を利用した公設公営の「放課後子ども教室」を有している。学童保育の併設されてない小学校及び、残りの20校についてはどうなっているのか?と思ったが、何も心配なし。もともと58の小学校区に82の学童保育施設が公設(公設公営は40施設)であり、それを利用しているとの事。公設民営の事業には委託料として一施設当たり2400万円を投じているそうで、本市と比較すると、あらゆる面でレベルが違いすぎると感じた。
しかしながら、ただ肩を落としてばかりもいられない。これからの本市の放課後児童居場所づくり事業を考えると、財政の面の違いからも大田区のようにはいかないが、やはり学童保育とわいわいスクールを一体化(一元化)し、その上で受益者の負担を減らす方向に向かわなければならないのでは。本市も進める空き教室の利用には必要最低限の投資で、放課後の児童が最優先で使うものの、学校側としても空いてる時には使えるように。そして小学校を公共施設として最大限有効に使うとなると、教育の面と施設の管理と言う面を切り離す必要性があると感じる。(所感部署等の問題はあるが)先生が教育のプロなら、施設管理とセキュリティーもその道のプロに任せ公共施設としてのポテンシャルを充分に発揮できるようにするのが、これからの公共施設統合にもつながるのではないだろうか。
そして指導員の方々はNPO法人が中心となり一元管理し、必要な所へ派遣する体制にすれば利用する児童の増減にも対応できるのでは。子供たちの過ごし方は自主性に任せ遊びの中から学ぶようにし、基本見守りに。となると公設公営、もしくは民営が望ましい。と言うかそうでなければ受益者の負担は下げることができないでしょう。
学童保育の質が落ちると言われそうですが、質が高い学童保育を受けたい保護者の方は費用がかかっても民間の事業者の運営する所へ行けば良く、行政として関わる以上は、より多くの方に利用しやすい形へと変えてゆかなければならないと感じます。
長々と以上です。2日目以降はまた後日に。